評価
読みやすさ:★★★★☆
書きやすさ:★★★☆☆
総合評価:B+
使用期間
2020年5月~8月
使用理由
①水町勇一郎先生が令和2年司法試験考査委員に任命されたため。
令和2年司法試験考査委員名簿(令和2年11月13日現在)(労働法)
法務省 – 司法試験委員会 – 司法試験考査委員会議 – 名簿 http://www.moj.go.jp/content/001332842.pdf

司法試験法(昭和二十四年法律第百四十号)(平成27年8月1日(基準日)現在のデータ) (司法試験考査委員等) 第十五条 委員会に、司法試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験考査委員を置き、予備試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験予備試験考査委員(以下この条及び次条において「予備試験考査委員」という。)を置く。 2 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、委員会の推薦に基づき、当該試験を行うについて必要な学識経験を有する者のうちから、法務大臣が試験ごとに任命する。 3 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、非常勤とする。
②改正箇所を含め、労働法全体をざっと確認するため。
③司法試験実施延期により時間に余裕が生まれたため。
使用方法
主な目的は、改正部分や頻出分野を中心とした考査委員対策です。
使用教材を絞って固めていたため、司法試験が延期されずに2020年5月実施のままであれば手を出さない予定の書籍でした。
新型コロナウイルスの影響による約3か月の試験延期を受けて時間が出来たということで、考査委員の問題意識を把握するために使い始めた次第です。
加藤喬「労働法速修テキスト講義(第2版)」(BEXA,2017)のテキスト(リニューアル前ゆえ改正未対応)をメインテキストにしていたこともあって、改正部分や新しい判例の知識を補充するためにも軽く通読しようと決断しました。
水町先生は、『「同一労働同一賃金」のすべて(新版)』(有斐閣,2019)というご著書があるように、同一労働同一賃金関連法制の第一人者です。
令和2年司法試験でも、(削除前)労働契約法20条について問題となったハマキョウレックス事件や長澤運輸事件等を踏まえた、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート有期法)8条及び9条についての出題が予想されるところでした。
そこで、当該箇所を中心に、考査委員である水町先生がどのような立場に立たれているのかを確認する意味でざっと1周通読しました。
書評
辞書として利用していた菅野和夫『労働法(第12版)(法律学講座双書)』(弘文堂,2019)と比べればかなり薄いので、割と短期間で通読することができました。
そのコンパクトさゆえか、京都大学での「労働法」受講者など、初学者のシェアは圧倒的に高いように感じます。
文体も平易でわかりやすく、特にパート有期法8条及び9条の解説は重宝しました。
もっとも、自説(独自説)をさも判例が述べているかの如く解説する箇所も一部見受けられるため、特に判例は原文又は百選等で、判例についての解説は菅野労働法等で確認する必要があるように感じます。
京都大学法科大学院においても、労働法の教員が皆さん口を揃えて「水町先生の本は読み方に注意が必要である」旨指摘されており、水町先生が考査委員であるうち以外は、この本だけで司法試験に臨むことは控えた方が良いような気もしました。
関連情報
その他の労働法関連書籍や予備校講座等については、作成済み記事・作成予定記事をまとめた「記事一覧【司法試験】」をご覧ください。
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