
そんなにたくさん蛍光ペン持って何してるんや?
本に書いてあることなんて全部大事やねんから、マーキングなんかいらんて。

どうせ綺麗にデコりたいだけなんでしょ。
そんなとこに時間使ってたら司法試験なんか受かれないわよ。
司法試験に向けて勉強を頑張っていらっしゃる方の中に、こんな言葉を浴びせられた方や、もしかしたらそれに近いことを言ってしまった方がいるかもしれません。
まず、人によって勉強法は違うので、不安に思う必要は全くないですし、根拠のない批判は控えましょう。
自分で実力が身に付いていると実感できる方法が見つかればそれで良いのです。
この記事では、令和2年司法試験合格者が実際に採用していたマーク・アンダーラインの方法を、アドバイスや写真付きで、あくまで一例としてご紹介します。
マーキングの方法でお悩みの方がいらっしゃれば、初学者から中・上級者の方まで、是非サンプルとしてご活用ください。
使用期間
2014年4月~2020年8月
使用理由
①書籍やレジュメ等を素早く読み返せるようにしたかったため。
②大学受験時代から慣れ親しんだ方法であったため。
使用方法
<プロパス・ウィンドウ スタンダード(三菱鉛筆株式会社)>
新しい書籍を買った際には、まず全体を把握するために目次を熟読します。
この作業を経ておけば、全く知らない分野の書籍であっても、用いられる単語や扱われるテーマを事前に想像した状態で本文に入ることが出来ます。
このまま本文を読み進めていっても良いのですが、私はこの後に全体像把握のためのマーキングを行っていました。
目次を熟読した後に、
- 桃色で大タイトルのみマーキングしながら大タイトルのみ1周通読
- (各小タイトルがどのような大タイトルの下に位置づけられているのかを常に確認しつつ、)空色で小タイトルのみマーキングしながら小タイトルのみ1周通読
までを一気にやってしまいます。
この作業を経ることで、①マクロな全体像把握→②ミクロな全体像把握の二段階を既に行ったこととなり、書籍の全体像を掴んだ上で本文を読み進めることが出来るようになるのです。
副次的な効果として、どの項目にページが割かれているのかという情報から、大まかに全体のメリハリの付け方も分かります。
このように、桃色・空色は、書籍の全体像を把握するためのマーキングです。
ただ、もちろん何も考えずに色を塗っているだけでは、見やすくなるだけでマーキング中の時間が無駄になってしまいます。
あくまで書籍の全体像を掴むという目的のための手段として、頭を使いながらマーキングを行ってください。
以下では、実際に私が行っていたマーキングの方法を詳細に解説します。

大タイトル:桃
e.g.第1章:マーク、第1節:アンダーライン、第1款:点線アンダーライン①、第1目:点線アンダーライン②
※上の画像にて紹介したマーキング例では、第○編のタイトル部分が書籍の仕様で既に青色に装飾されており、数も少ないことからマーキングをしていません((a)のようにタイトルがなくそのまま文章が始まっている場合にもマーキングは行いません)。
※書籍ごとのナンバリングに合わせて、ナンバリングとマーキング方法との対応関係をスライドさせていました。

小タイトル:空
e.g.1:マーク、(1):アンダーライン、(a):点線アンダーライン
※書籍ごとのナンバリングに合わせて、ナンバリングとマーキング方法との対応関係をスライドさせていました。
裁判例(年月日・事件名・百選番号):緑
e.g.大判昭10・10・5民集14巻1965頁(宇奈月温泉事件・百選Ⅰ1)と表記してあった場合には、「大判昭10・10・5」、「宇奈月温泉事件」、「百選Ⅰ1」の部分にのみマーク
※「民集14巻1965頁」の部分は長くなりすぎるためマークしません。
※このマークをすることによって、後で見返した際に(裁)判例が述べている箇所が一目でわかります。
※事件名は、記憶の引っ掛かりとして覚えておけば少しでも判旨を思い出しやすくなると考えていたためマークしていました。
※百選番号は、司法試験に出されても文句の言えない百選掲載重要判例であることを意識するためにマークしていました。
論点:橙
e.g.「善意の権利取得者からの転得者が悪意の場合、転得者は有効に権利を取得しうるか」の部分にマーク
※このマークをすることによって、後で見返した際に論点部分が一目でわかります。この部分だけを通読することで、基本書を論証集代わりに用いることも可能です。
<プロパス・ウィンドウ ソフトカラー(三菱鉛筆株式会社)>
書籍を読み進めながら、必ず覚えたい重要な箇所にはマーク、重要だが優先度が低いものにはアンダーラインを引いていました。
自説の条文・定義・規範:ヤマブキ
自説の理由付け:サクラ
反対説の条文・定義・規範:アクア
反対説の理由付け:ラベンダー
問題意識(問題の所在):ライム
<フリクションボール4(三菱鉛筆株式会社)>
講義メモ:黒
※加藤喬「労働法速修テキスト講義(第2版)」(BEXA,2017)(詳細記事掲載予定)にて使用。
※細かい書き込みが可能であるため、普段の講義メモ用には主にジェットストリーム スタンダード 0.38mm(三菱鉛筆株式会社)を主に使用していました。
原則を表す場合:赤
例外を表す場合:青
※アンダーラインを引いていました。稀にしか無いですが、例外の例外は赤点線、そのまた例外は青点線で引いていました。
判旨の要約:緑
加藤喬「労働法速修テキスト講義(第2版)」(BEXA,2017)(詳細記事掲載予定)ではマークやアンダーラインの色を指定されますが、普段通りのマーク・アンダーライン方法と若干異なっていたため、自分好みに修正していました。
結論

マーキングは、あくまで勉強をしやすくする(効率良く書籍やレジュメを読み返せるようにする)という目的を達成するための手段にすぎません。
楽しくなってついつい時間を使いがちになってしまう方も多いかと思いますが、間違っても、マーク・アンダーラインを引くこと(綺麗に装飾された書籍やレジュメを作り上げること)が目的化してしまってはいけません。
マーキングは時間の無駄だとおっしゃる方もよくいらっしゃいますが、「本当に無駄か?」というタイトルの問いに答えるとするならば、「人によっては無駄、人によっては有益」というありきたりな回答をすることとなります。
少なくとも私にとって、マーキングは有益でした。
そもそも司法試験はその膨大な範囲ゆえ、全科目の記憶を安定させるために高速で何度も書籍を見返す必要があります。
そのために作成されるものの1つにまとめノートがありますが、全科目で作成するとなるとそれこそ膨大な時間を要します。
まとめノートをわざわざ作成しなくても、たとえば、自説の条文・定義・規範(ヤマブキ)及び自説の理由付け(サクラ)のマーク箇所だけ1周するという見方を出来れば、基本書が高速で見返せるまとめノートに変身します。
全くマーク・アンダーラインの引かれていない基本書を1周見返す労力を考えれば、一部の速読能力を持つ人を除いて、マーキングにも意味があるかもと思ってもらえる方が多いと思います。
もちろん、勉強法はひとそれぞれなので、この記事を参考に、自分に合ったやり方を見つけてくださいね。
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