評価
読みやすさ:★★★★☆
書きやすさ:★★★☆☆
総合評価:B+
使用理由
①予備校講座・予備校本での疑問点について辞書として使用することで知識の正確性を担保するため。
②ゼミ形式の授業において、参考文献とするため。
使用期間
2019年11月~2020年8月
使用方法
主な目的は、改正部分や頻出分野をより深く理解するための辞書的な利用です。
令和2年司法試験では、(削除前)労働契約法20条について問題となったハマキョウレックス事件や長澤運輸事件等を踏まえた、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート有期法)8条及び9条についての出題が予想されるところでした。
加藤喬「労働法速修テキスト講義(第2版)」(BEXA,2017)(詳細記事掲載予定)のテキスト(リニューアル前ゆえ改正未対応)をメインテキストにしていたため、改正部分や新しい判例に関しては深く読み込みました。
勉強会においては、出題された論点の該当箇所を出来る限り読み込んでから出席。
鎌田幸夫「労使関係と法」(京都大学法科大学院,2019年度後期)等でレジュメを作成して発表する際には、発表資料の参考文献としても活用しました。
書評
働き方改革関連法案の反映された第12版(最新版)が2019年11月に出版されたため、購入に至りました。
私が新型コロナウイルスの影響による司法試験延期後に使用し始めた、水町勇一郎『労働法(第8版)』(有斐閣,2020)(詳細記事掲載予定)と比べればかなり分厚く、通読には向きません。

写真で見ても分量の差は歴然ですね…。
ただ、分厚いということはもちろん解説が詳しいということであり、判例についての解説等を確認する際に重宝します。
京都大学の学部講義「労働法」の受講生でこの本を持っている人は少なかった印象ですが、京都大学法科大学院で同期を見渡したり先輩方にお聞きすると、シェアがまずまず高かったように感じます。
「労働法事例演習」(京都大学法科大学院,2019年度後期)の竹林竜太郎先生は、「使用者側なら荒木先生、労働者側なら西谷先生の基本書を引用する」旨述べていらっしゃいました。
菅野先生の記述は使用者側・労働者側のいずれかに寄りすぎることなく、中立的な記載が多いため、辞書としての利用にはもってこいの書籍といえるでしょう。
もっとも、論文答案に活かせる形でストックするには、ある程度内容を理解した上でコンパクトにまとめ直す必要があるように思います。
全体の通読はほぼ不可能、というより司法試験までの時間を考えれば有害であると感じたので、メリハリをつけて重要な箇所をつまみ食いし、予備校講座・予備校本の疑問点の解消や論証の加筆・修正に利用するという使い方がベストなのではないでしょうか。
関連情報
その他の労働法関連書籍や予備校講座等については、作成済み記事・作成予定記事をまとめた「記事一覧【司法試験】」をご覧ください。
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